Manga(マンガ)Anime(アニメ)GAme(ゲーム)大好き人間に届けるWEBマガジン「MAGA人マガジン」

ブシロードで色んなことを聞いてきました-橋本義賢社長インタビュー

【ブシロード 橋本義賢社長 インタビュー】

今回はトレーディングカードゲームをはじめ、プロレスや音楽事業、その他数々の分野を手掛けている【株式会社ブシロード】の社長、橋本義賢氏にインタビューを行いました。
ブシロードは上記の通り数多くの分野を手掛け、様々なヒット作を生み出しています。そこでこのインタビューでは私達学生の立場から、ブシロードの魅力・戦略・展望を余すことなくお聞きし記事にまとめました。この記事を読んで頂き、ブシロードの魅力をもっと知っていただければ嬉しいです。
それではお楽しみください!
【インタビュアー:中山、二本松、編集:内藤 カメラマン:大森】

二本松
本日はよろしくお願いします。

ブシロード
よろしくお願いします。

中山
それでは、最初の質問です。株式会社ブシロードを立ち上げたキッカケはなんですか。

橋本義賢氏(以下、橋本)
はい。立ち上げたのは会長の木谷でありまして、私が参加したのは2012年からになります。立ち上げの時の木谷の言葉で言うと、木谷高明第二ラウンドを立ち上げるという思いで始めたんだと思います。ブロッコリーという会社を最初に創業して、13年ほどで退任されました。このブシロードという会社は今まで培った経験とノウハウを活かし、世の中に貢献できる事業を作って行きたいという想いで木谷が開設したと私は理解しております。

中山
なるほど第二の挑戦として始めたんですね。

橋本
そうなんです。ブロッコリー社は当時TCGや他にもゲームなど、今のブシロードの原型みたいな事をやっていました。そういう中で木谷が個人的にも事業のノウハウを蓄積できて、実があり、成功すれば長い期間ちゃんと利益を出せるビジネスを作れたのが大きな理由だと思います。

中山
なるほど、ありがとうございます。

トレーディングカードゲームについて

二本松
トレーディングカードゲームについて質問させていただきます。御社は、定期的にトレーディングカードゲームの戦略発表会をやっていますが、何年先までを見据えてTCGや自社IPを制作しているのでしょうか?

橋本
やはり世の中の環境は常に変化しますので、そういう意味ではブランドコンセプトは10年、20年という単位で考えるんです。戦略って言う意味で言うと3年ぐらいのタームで考えています。

二本松
なるほど、そんな先まで考えているんですね。

橋本
戦略という意味では方向性付けだと思いますので、3年先を見据えた上で具体的に発表会を3カ月に一度やるようになりました。基本的には、3ヶ月先の発表をするのが、基本的な発表会の内容になっています。

二本松
3ヶ月先までをその場で発表して、その度、考えていくということなんですね。

橋本
IPは立ち上げようとしたらやはり3年はかかるので、発表できる内容は目先の決まったことしか出来ないですけど、1、2年先、3年先はこういう状態を目指してということを描きながらでIPを作っています。これは、カードゲームも然りですし、バンドリのような音楽もののタームとしてはその位を基準としています。なのでもっと長期の意味で10年、20年と続くIPにしたいと思います。それをブランドとして維持させていくにはどういう考え方でやるべきか、基本的な考え方はずっと変わらないですね。一本筋を通して、長く続くIPにしていきたいという考えです。

二本松
なるほどありがとうございました。

高橋昌宏氏 (以下、高橋)
すみません。私から少し加えさせていただくと、今3ヶ月に一回やっている戦略発表会は、当然ですけど今我々が考えてる未来のプラン全てを言っている訳ではありません。当然3ヶ月先には次の発表会があるので、そこまでの展開をメインにというところは正直あります。今の発表会は、ヴァンガードとかヴァイスシュヴァルツの展開をメインに発表してるので、そこで発表するとなると必然的に、ある意味短期的になってしまいます。ですのでもっと、中期的、長期的な話をするときは、別途場所を設ける必要がありますね。

二本松/中山
ありがとうございます。

中山
次の質問です。御社の他社TCGコンテンツにはない、本社独自のTCGコンテンツの強みや、魅力はなんでしょうか?

橋本
ブシロードの強みという意味で言うとヴァイスシュヴァルツが挙げられるかなと思ってます。キャラクターTCGというカテゴリーがあるとすれば、そのカテゴリーではナンバーワンであると自負しています。これは世界的に見ても、類似のものは存在しないので、そういう意味では世界のデファクトスタンダードになりつつあると考えております。自社IPのみならず他社のIPをお借りして、カード化して、ヴァイスシュヴァルツというカードプラットフォーム上で遊べるという、そういう仕組みになっています。こういうジャンルのカードゲームについてはブシロードは強みがあります。

中山
そうですね。様々な、タイトルとコラボするのが1番多いトレーディングカードゲームだなと思っていますね。

橋本
そうですね。色んなタイトルを参戦させていくという、ヴァイスシュヴァルツのプラットフォーム上で遊ぶためのカードを作るやり方をしていますので、そこは一定のノウハウもあるし、強みもあり、実際業界内もNo.1だと思っていますね。

中山
なるほどありがとうございます。

橋本
ちなみにですが海外でも英語版がありまして、実際伸びています。日本語版では参戦していないタイトルが英語版のみで参戦してるものもありまして、徐々に北米中心でキャラクターカードゲームといえばヴァイスシュヴァルツというポジションを取りにいけていると思っています。

中山
なるほど。では海外限定の参戦したカードは日本でも参戦することがあるのでしょうか?

橋本
今のところないですね。
ですが、CCさくらは英語版で先行してその後、日本に輸入しましたね。
そういう意味ではあれは特別で今のところ唯一ですね。

高橋
英語版だけの現地で人気のあるタイトルは幾つかあるんですけどね。

中山
そのタイトルを日本で参戦させることは今のところ考えてないのですか?

高橋
今のところ考えてないですね。
日本と海外で求められているものが違うので、向こうで求められているものを、参戦させた方が良いと思います。そのまま日本に参戦させてくるだけでは難しいかなと思います。

中山
なるほど。ありがとうございます。

カードファイトヴァンガードについて

二本松
ところでカードファイトヴァンガードは世界61ヶ国・地域と幅広く展開されていますが、特に人気の高い地域はどこでしょうか?

橋本
日本を除けばアメリカですね。カナダを含めて北米でかなり遊んでいただけていると思っています。規模的に見ても大きいのはダントツでアメリカで、 英語版の半分以上を占めています。ほかの地域ではどうかというと東アジアでは台湾や香港、中国でも遊ばれています。あとは、タイ、シンガポール、マレーシアこの辺の地域でヴァンガードは人気が高いと思っています。

二本松
今後、より幅広く展開していく予定はありますか?

橋本
それは流通網次第ですね。なぜなら、大会の運営や各種サポート、プロモーションマーケティング等をディストリビューター(*注)に委託しているからです。オフシャルなサービスとしてやっていく上でそれなりのディストリビューターのカバーが必要なんです。我々も公式としてやる上で適当にやられたら困りますし、そういうディストリビューターが他の地域も、やれるのであれば少しずつ広がって行くと思います。
(*注)卸売業者の意

高橋
カードゲームは売って終わりではなく、売った後にしっかり公式がサポートしなければいけないビジネスなんですよね。だからお客様がカードを買って安心して遊んでもらうために質問に答えたり、大会を開いたり、継続したサポートが必要になってくるんです。それが日本なら我々がやるのですが、世界中になってくると我々がやるのは実現不可能なんですよね。展開で1番大変なのは売ることよりもサポートを続けることなんです。ですので、先程でたディストリビューターは、信用できてしっかりやってくれる所を探すのが1番大変ですね。

橋本
その他にも、言語の問題もあります。我々はライセンスアウトして、現地のディストリビューターにライセンスを供与する形で作っているものがあります。例えば韓国語版とタイ語版とイタリア語版ですね。自社で展開しているのは日本版と英語版のみなのですが、一定数ローカルの言語でないと遊びたくないという人もいるんですよね。例えばヨーロッパであればイタリア人はイタリア語で遊びたいしフランス人はフランス語で遊びたいわけです。

中山
母国の言語が書いてあったほうが馴染みがありますよね。

タイで起きている面白い現象

橋本
ですが、これに関してタイで1つ面白い現象が起きているんですよね。タイ語版は主に子供が遊んでいて大人になると日本語版で遊んでいるんです。

中山
日本語版で効果とか分かるんでしょうか?

橋本
分かっていますね。小学生だとタイ語で書いてもらわないと分からないけれど大人になってもやる人はガチの人なので分かるのでしょうね。それに日本語版で遊んでいる方がかっこいいと思う見え方もあるんですよね。

二本松
日本人が英語かっこいいと思うのと同じ認識ですかね。

橋本
そうですね。それと外来のカルチャー、日本のカルチャーのカードゲームを遊んでいる俺たちかっこいいっていう認識もあるみたいですね。

「カードファイト!! ヴァンガード overDress」について

二本松
ありがとうございます。
続いてアニメ「カードファイト!! ヴァンガード overDress」について質問させていただきます。「カードファイト!! ヴァンガード overDress」は既に3期、4期のアニメ化も決定していますが、今後これまでにあった新ギミック等の開発の予定はありますでしょうか?

橋本
そこはまださすがに言えないですね。戦略発表会でお伝えしていく内容ですので。

二本松
どうしてもいちプレイヤーとして気になってしまって(笑)。

高橋
お答えできる範囲ですとカードって1ヶ月、2ヶ月先だけじゃなくて予定だけで言えば1年後、2年後まで決まっているんですよね。
当然同じ遊び方をしてたらお客様は飽きてしまうのでここで新ギミックを入れようか、ここで新レギュレーション入れようかみたいなプランは結構たっています。

二本松
楽しみにしています。ありがとうございます。

アプリ/音楽事業について

中山
ここからはアプリゲーム及び音楽事業についてお伺いしたいと思います。
モバイルのアプリゲームの中で音楽のゲームが多いのはなぜでしょうか。

橋本
ブシロードは、もともとライブエンターテインメントが好きな会社なんです。プロレスもやっていますし、「ミルキィホームズ」という声優アイドルグループのメディアミックス展開も先駆けてやってきました。そういったところでライブエンターテインメント、リアルとオンラインをハイブリッドに展開するというのが会社の根本にあるんですね。そういうリアルコミュニケーションを大切にしている会社ですという理念、考え方があるんです。音楽のビジネスってヒットすると利益が大きいのでCD、配信、出版、作詞作曲、それらの使用料などが入ってくるのです。テレビ、カラオケ等で使われればそれも少しずつ入ってくるんです。それが継続的に入ってくる訳ですからビジネス面でもかなり利益に繋がるんですね。
ブシロードはIPディベロッパーという、戦略を掲げてIPを立ててマンガ・アニメ・ゲーム・音楽・グッズと幅広く回収をしていくビジネスモデルでやっているので音楽は欠かせないですね。
今コロナで苦戦を強いられている状況なのですが、こういう音楽ビジネスでメディアミックス展開するというのは我々の得意分野だし、会社の基本的な考え方に近いやり方と思っているので音楽ものが多い状況なんですね。

中山
ありがとうございました。

 

声優事務所について


二本松
次に御社が自社で声優の事務所を立ち上げたきっかけをお聞かせいただけないでしょうか。

橋本
メディアミックス展開する上で、声優さんが必要です。ビジネスをやっていく上で実は声優さんに活躍してもらっているんです。適宜Twitterで必要な情報を呟いてもらったりですね。外部に所属している声優さんにお願いする時は、コストもかかるし、また事前に交渉をしてこの内容をこのタイミングで告知して欲しいみたいなことを言わないといけないわけです。そして、ギャラいくらですみたいな話をやって初めて成立する話です。そんなことをやっている間にタイミングを逸してしまうわけですよ。そういう意味では柔軟にスケジューリングできるということですね。
ビジネス的な理由からして声優事務所を自社が持つようにしています。だから、きっかけがあったというより必要だったからという考えですかね。

二本松
わかりました。ありがとうございます。

中山
最後にお聞きしたいことが3つあります。ひとつめは今後8つの事業分野の他に新しい事業を立ち上げるならどのようなコンテンツを手がけたいのかをお聞きしたいです。

橋本
そうですね。プロデューサーがコンテンツのコンセプトを作って、それをどう展開プランにするかを考え、社内的に会議を通してプロジェクトをスタートしていくわけです。プロデューサーの考えを尊重するということが基本なんですよ。会長の木谷がプロデュースしている作品は多いのですけど。経営サイドから言うと、グローバルに回収できる作品ができるといいなと言うのはあるんです。
なぜかと言いますと、日本アニメが世界中で今評価が高まっています。世界中で1つのジャンルになろうとしているんじゃないかなと私は思っているんです。日本のアニメ・ゲームから派生するメディアミックスビジネスは、日本だけではなく海外で回収するものだと思います。それを目指すべきなんですよね。

中山
ありがとうございます。

二本松
続いてふたつめですが、御社はどんな人材を求めていますか。

橋本
基本的には、挑戦する人、前向きな人です。世の中どんどん変わるし、我々が業界にいてもどういうコンテンツがヒットするのかわからない。そのくらい難しい。そういう意味でいうと何がヒットして何がヒットしないみたいなことを事前に品定めするべきではないんです。

二本松 
前向きにひとつのことに囚われず、様々なことを発想できる人がいいということですね。

橋本
そうですね。あともうひとつあるんですけど、プラスアルファのサービスを常に用意できる人を求めています。

中山
「こういうのもあるけれど、こういうのもどうですか?」という提案が出来る人ということでしょうか?

橋本
仕事のオーダーに対して10の仕事をオーダーされたとしたら、納品する際には12くらいを納品するという意味合いなんです。プラスアルファで言われたことだけをやるのではなくて、言われたこと以上に返してあげると相手は「おっ!」と思う訳ですよね。そうすると一目置くようになるんです。彼に対して仕事をあげればいい仕事をしてくれそう、仕事が捗りそうなど、そういったことになってくるわけで。いい仕事が回ってきて結果も出せるようになり、どんどん上に上がっていける。学生の皆さんにもそういう考えは常に持っていて貰えるといいですね。

二本松 
なるほど。ありがとうございます。

中山
それでは最後になるのですが、学生に向けて一言お願いします。

橋本
エンタメ業界って、市場として大きいのが10代後半から20代なんですよね。キッズのマーケットは少子化に伴って縮小傾向だったり、タイトルのヒット具合や年によって上がったり下がったりします。一方で10代20代は、やはりエンタメ業界において凄く重要な年齢層です。今日来ている皆さんは20代前半で、市場におけるユーザー側のど真ん中にいらっしゃる訳です。

二本松/中山
そうですね。

橋本
新しいテクノロジーに対して若い人達はすぐに対応しますよね。そのテクノロジーを利用した上でコンテンツの提供をする訳ですから、学生の皆さんは企業側からは即戦力として使って貰えることが多いと思います。当社もそうですし、若い人の感性を活かして仕事を担当して貰ってます。やっぱりど真ん中にいらっしゃる方がいいセンスを持っていると思います。そういう意味では学生には是非活躍して欲しいし、自信を持ってやっていただきたいです。

中山 
それなら趣味とか興味をなるべく多く持っていたほうがいいですかね。

橋本
そうですね。
皆さんはエンタメ業界に就職しようと考えているんですか。

中山
そうですね。

橋本
なるほど。後はゲームは昔からですけど、ここのところアニメがきていると考えています。グローバルに通用する産業に成り得ると思っておりますので、是非そういう視野を広く持って勉強していただきたいなと。

二本松/中山
頑張ります。

橋本
社会に出てからは人脈も必要なんですよ。エンタメはプロジェクトビジネスなので自分一人で完結しませんから。いろんな人と一緒にやらないと成立しません。そういう人脈作りを出来るコミュニケーション能力は非常に重要になります。今からその準備を進めてもらったほうが良いかなと思います。

二本松/中山
分かりました。ありがとうございます。

二本松
それではこれにてインタビューを終了させていただきます。本日はありがとうございました。

最新情報をチェックしよう!