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夜明宮の災い……?!『後宮の烏』の紹介

 著者は白川紺子、イラストは香魚子によるファンタジー小説『後宮の烏』(集英社オレンジ文庫)はシリーズ累計120万部を記録し、2022年の10月にアニメ化された作品である。

 夜明宮には妃でありながら、夜伽をしない特別な妃である烏妃の柳寿雪(りゅうじゅせつ)がいた。呪殺、祈祷、失せ物さがし、頼まれればなんでも請け負うが、会えば災いが訪れるといわれていた。そんな彼女のもとに夏王朝(かおうちょう)の皇帝・夏高峻(かおうしゅん)は翡翠の耳飾りに取り憑いた幽鬼を祓うべく依頼しに来た。
 寿雪は最初、皇帝相手にも物怖じせず高圧的な態度で依頼を断るものの好物である蓮の実餡の包子(パオズ)を差し出されて依頼を引き受けてしまうのだった。不思議な術を使い、側仕えに話を聞いて翡翠の耳飾りに隠された真相を解き明かしていくと耳飾りの持ち主は班鶯女(はんおうじょ)のものだったことが判明する。
 班鶯女は10年ほど前、三の妃を毒殺した疑いをかけられ、首を吊って亡くなっていた。なぜ翡翠の耳飾りに幽鬼として取り憑くことになったのかさらに詳しく調べるために寿雪は洗穢寮(せんえりょう)へ向かう。そこには班鶯女の側仕えをしていた蘇紅翹(そこうぎょう)がいた。寿雪は蘇紅翹から話を聞こうとするも、彼女が一言も話せないという衝撃の事実が……。

 中国最古の王朝とされている夏王朝が舞台となっており、主人公である寿雪が不思議な術を使って後宮に起こるさまざまな問題や謎を解決していく。ファンタジーとサスペンス要素の両方楽しめる作品である。事件にまつわる出来事の時系列や複雑な人物の相関がわかりやすく、背景や建物、人物の装飾が違和感なく世界観に溶け込んでいる。
 美しい容姿をしていながら、蓮の実餡の包子という食べ物にあっさり釣られてしまう寿雪の魅力あふれるキャラクターに加えて彼女の過去、そして皇帝である夏高峻とどのような関係を築いていくのかにも注目すると作品をよりもっと楽しめていけるだろう。ぜひ一度ご覧あれ。

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