『ペンギン・ハイウェイ』とは森見登美彦著の小説。
北香那・蒼井優主演でアニメ映画化された。監督は石田祐康が務めている。制作はスタジオコロリド。
あらすじ
ある日突如住宅街に現れたペンギン。そんなヘンテコな現象に興味を持ったのは、探究心旺盛なアオヤマ君。彼はペンギンがなぜ現れたのか、何が目的なのか調べていく。
「初恋」と「失恋」が1つのテーマだと思ったので書いていく
小学校4年生というのは少し前の価値観であれば、2分の1成人したということになる。この頃あたりから物心がつき始める。そんな少年少女の気持ちを丁寧に描いた作品だと感じた。主人公であるアオヤマ君は歯科医院に勤めているお姉さんに恋をしている。だが本人はその感情を恋だとは認識していない。将来結婚する相手だと思い、おおよそ一方的に付き合っていると表現している。この作品内で凄いなと思ったのは、視聴者にアオヤマ君は「好き」という感情を知りませんよというのを伝えることが出来ることだ。分かりやすいポイントが2点ある。
1つはスズキ君がハマモトさんのことを好きだということに気が付いていない点。ウチダ君はそのことに気づいているし、我々もすぐ分かることだ。
2つめはアオヤマ君自身がお姉さんを観察しているときに言うセリフである。「こんな風に嬉しくなったことはない」というセリフがある。このセリフは特に「好き」を知らないことを表しているように思えた。
この2点から彼が「好き」という感情を知らないのは間違い。物心つきはじめでは、当たり前だが、それを表現出来ることに驚きを隠せない。
ラストシーンでアオヤマ君は失恋に近いものを体験するのだが、その時の寂しさや悲しさといった感情が繊細に描写されている。強がってみたりすることで自分を偽るのだが、その姿は我々からはつらい心境をのぞくには十分な要素だった。
だが本人は失恋とは感じておらず、お姉さんと結婚する為に、この先もどんどん偉くなっていき、また恋をするのだろう。