今回紹介する「Vivy -Fluorite Eye’s Song-(略称:ヴィヴィ)」は、WITSTUDIOで作られたオリジナルアニメ作品。
シリーズ構成・脚本は「Re:ゼロから始める異世界生活」の原作小説を担当した長月達平とアニメ化の脚本を一部担当した梅原英二が担当しており、作品完成度に対する期待感は高まるばかりだ。
未来から来たAIとともに、100年後に起きるAIによる人類虐殺を阻止するというのが物語のあらすじとなる。
さて第1話をみて私の抱いた感情は、「不気味」の一言。
世界観的に近未来であるからこそのリアリティもこう思った理由ではあるが、他にもいくつかある。
まず一つ目だが、出だしのシーンで遊園地のパレードに出て来るかのような煌びやかな乗り物と、人が無惨にも殺されていくシーンを交互に見せるというインパクトの強いところから始まる。そこが実に対極で不気味だった。
しかも、楽しい現代から未来ではこんな恐ろしいことが起きるという表現かと思いきや、いきなりそのかけ離れた二つが重なり合い、同じ時間・場所で起こっていると知り、ますます不気味な印象が残る。
二つ目は、「Vivy」についてだ。普段は可愛らしい現代風の作画をしているが、時折見せるロボットらしい質感に細かい造形。逆作画崩壊と言えるようなそんな変化に、その都度この子は女の子ではなくAIだったと認識が戻される。
三つ目が、最初に見せた映像のせいで視聴者の脳裏に焼きついたシリアスシーンと、福山潤演じるクマの人形「マツモト」のふざけた様なおちゃらけたようなキャラクター性がずれていて、そこがどこか不気味に感じ何か裏があるんじゃないかと思わせるような力がある。
人間は何かアンバランスな物やどこかずれているような意識を持つと、それを不気味に思うような性質を持っていると考えている。
それを遺憾なく利用してきているのが、「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」ではないだろうか。
不気味な作品を見たい。また、AIや近未来を題材にした作品を見たいと思っている人には最適の作品ではないだろうか。まだ1話だけなのではっきりとしたことは言えないが、その不気味さと「Vivy」のAIならではの葛藤や成長に注目して観てほしい。
©Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO