「このラノベがすごいらしい」
今回は宝島社主催で毎年開催されている「このライトノベルがすごい」で2022年版にランクインし た作品の中から私の好みでいくつかのタイトルを現状の解説、分析、今後の予想をしていく。 「千歳くんはラムネ瓶のなか」「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」 「義妹 生活」こちらの3タイトルを解説、分析していく。
最初は「千歳くんはラムネ瓶のなか」ことチラムネから解説、分析していこう。 作者は裕夢先生イラストはraemz先生が担当している。 裕夢先生は本作がデビュー作となっており現時点で累計発行部数は28万部を突破している。 raemz先生はシャープで綺麗な線と鮮やかな色で人気のイラストレーターです。 本作品は昨年、今年と続けてこのラノで1位を獲得しておりコミカライズ化され連載中です。 本作の魅力は主人公のキャラクター性にあると思う。 主人公は一見すると自信満々でノリが軽くカーストトップのリア充でオタクには嫌われるようなタイ プのキャラだ。だが読み進めていくと自分の考え、芯がしっかりとありそれでいて赤の他人の責 任を背負い込んだり、効率ではなく本人を傷つけない為の方法を取ったりと表では見せない優し さを持っていた。 そんな神であり魔王のキャラクター性に惹かれた人が多く人気がでて二連覇を達成したのではないだろうか。
2作品目は「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」ことお隣の天使様の解説、 分析をしていく。 作者は佐伯さん先生、1巻ではカバーイラストをはねこと先生、口絵・本文イラスト和武はざの先 生がそれぞれ担当しており2巻からはイラスト全部をはねこと先生が描いている。 作者の佐伯さん先生はwedサイト「小説家になろう」で他にも数多くの作品を手がけている。 カバーイラストを描いているはねこと先生は「ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回 照れさせたい」や「余命一年の君が僕に残してくれたもの」などのイラストの手がけている。 和武はざの先生は白聖女と黒牧師をマガジンRで連載しており都内で作品のイラスト展も開催さ れている。 本作は最新の5巻が販売された7月時点でシリーズ累計発行部数は40万部を突破しており、昨年は9位、今年は6位とこちらも2年連続でランクインしている。 本作はタイトルの通りの内容だった。 だが、ヒロインにただ料理や掃除をやってもらい駄目人間にされるだけでなく母親のような小言を もらったり料理を作るのを見守ってもらったりとおかんかなと思う場面が何回かあった。 そんな場面だが、学校では高嶺の花であるヒロインとなればギャップ萌えとなるだろう。 さらに素の表情では主人公共々甘々だが互いに距離感を掴みきれていないのが初々しく読んで いる方が恥ずかしくなるほどだった。 こんな可愛らしい天使様に心を撃ち抜かれた人が屍となりここまで売れたのではないだろうか。
3作品目は「義妹生活」の解説、分析をしていく。 作者は三河ごーすと先生、イラストはHitenが担当している。 三河ごーすと先生は他にいもウザや自称Fランクなどの人気タイトルを執筆している傍ら八月の シンデレラナインと言うゲームのシナリオも書いており活躍は多岐にわたる。 Hiten先生はナチュラルな雰囲気、透明感ある美少女表現が魅力的で現在はラノベの挿絵や同 人誌をメインに活動している。本作品は作者の三河先生が若い読者層に最初から作品に触れてほしいと言う考えから YouTubeで展開していたところから派生してライトノベル、コミカライズとメディアミックス展開して いる。
本作の見所は主人公と妹の冷めきった距離感だろう。 人と関わるのが面倒だから万人と距離をとる。そう言った考えの2人がある日突然兄妹になった らどうなるのか。当然のごとく互いに距離を取るが礼儀は必要以上にあるため何も困らない。だ が、2人ともただ面倒くさがっているのではなくそれなりの理由があってやっているのだ。 その理由もかなり重くしっかりしているもので納得できる内容だった。 多少なりとも他人に対する冷えきった態度や考え方は思い当たる節の人が多く先の展開もとても 良いところで引いていたためこのラノにランクインしたのではないだろうか。
予想
ここまで3作品を解説してきたが共通するのはどれも人が求める理想の姿なのではないだろう か。人生を楽しく生きたいから自分の考えをしっかり持つようになる。大人になってもやりたくない ことはやりたくないから人に甘えたい。傷ついて辛くなれば可能な限り人と関わりたくないしできる ことなら1人になりたい。 当たり前のことだがこんな人生を送りたい、送りたかったと読者により思わせた作品がより読者 受けするのだろう。魅力的なヒロインを作るだけではなくそのヒロインと付き合ったり、デートしたり と主人公の行動に感情輸入させればさせるほど売り上げも上がるのではないだろうか。