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映画で初めて知る宮城リョータ『THE FIRST SLAM DUNK』レビュー

THE FIRST SLAM DUNKレビュー

 

あらすじ

バスケットボール・インターハイの2回戦、神奈川県代表・湘北高校は、高校バスケット界の絶対王者と呼ばれる優勝候補筆頭の秋田県代表・山王工業と対戦する。

王者山王と無名の湘北の完全アウェー試合の中、湘北は相手に善戦するが徐々に山王の絶対王者と呼ばれる理由を知ることになる。

 

作品概要

本作は井上雄彦が原作の漫画『SLAM DUNK』その中でも人気が高い、「湘北vs.山王工業」を原作者自ら監督と脚本を務める。

 

映画で初めて知る宮城リョータ

視聴後に原作を読んだが映画の内容が登場するキャラクターや話の本筋である湘北vs.山王工業はそのままだったのだが、原作では描かれていないことばかりであった。

物語が進む視点になる主人公の役割が原作だと桜木花道だったが、本作では宮城リョータが話の主人公になっており、宮城リョータから見た山王戦になっている。
本編での宮城リョータの過去は三井寿と喧嘩をし入院をしたことだけしか描かれなかったので、沖縄出身であり兄がいたこと、喧嘩の後にバイク事故を起こし入院していたことなどは本作で初めて描かれる。
宮城リョータが主人公だと際立たせる表現でOPのキャラクターのスケッチ風の登場シーンでの登場順が宮城リョータと出会った順になっていたり、作品のヒロインも赤城晴子ではなく彩子さんかリョータのお母さんになっている。

兄の呪縛

兄である宮城ソータと比べられる描写が多いシーンが多いリョータ。それは他人からはもちろん、宮城リョータ自身もよく兄と自分を比べている。身長やバスケの才能、「めいいっぱい平気なフリをする」という精神力の強さなどもよく比べている。

なかなか兄のようにはなれず「ソーちゃんだったら……」と弱音をはくシーンもあるほど兄の呪縛に囚われているリョータ。母親宛ての手紙にも「ソーチャンが立つはずだった場所に明日オレが立つことになりました」と書くほど、山王の試合に挑む理由も「山王に勝つ」という兄の夢を自分が叶えるというものになっている。
しかし、「宮城君、ここは君の舞台ですよ」という安西先生のアドバイスで、兄のための試合ではなく、自分の試合という自覚をもてたリョータ。実はこのセリフは映画オリジナルであり、漫画原作では「湘北の切込隊長ですよ」となっている。
宮城リョータが主人公であり、宮城が今までどうバスケに対して向き合っていたのかを追ってきたからこそ、今回このオリジナルの演出になったのかなと感じた。

原作を知ると更に楽しめるTHE FIRST SLAM DUNK

原作を知らなくても勿論楽しめる本作だが、原作を知っていると試合を見るのとは別の楽しみ方で映画を見ることが出来る。
実は観客席には隠れキャラクター達がいる。一見、会場が盛り上がっているのを際立たせるため映っているように思える観客席だが、よく見ると原作で出てきた魚住や海南大附属高校、大栄学園などの多数の観客に紛れ込まれている。
この細すぎる作り込みに作中に出番があったり、喋ったりをしないキャラクターたちもちゃんとそこには存在しているというのを感じることが出来る。

原作を知らない人はスラムダンクに触れるきっかけになり、原作ファンもアニメ化がされていなかった山王戦が見れるというだけでは終わらずにキャラクターやストーリーに対しての解像度や理解度をさらに深めたりできる。
誰でもみることができ、本編の試合以外にも楽しめる要素があり何度でも楽しめる映画になっていると思う。

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