【夏へのトンネル、さよならの出口】
田舎町に住む塔野カオルは「入ればなんでも欲しいものが手に入る」と言われているトンネル、“ウラシマトンネル“の話を耳にしたあと、偶然にもそのトンネルを見つける。塔野はこのトンネルで亡くなった妹を取り戻すことが出来るかもしれないと思い始める。そのトンネルで鉢合わせた転校生の花城あんずもまた欲しいものがあり、2人はお互いの欲しいもののために協力し合うことにした。
ウラシマトンネルはその名のように、中と外では時間の流れが違っていて、中にいる時間より外の時間は早く過ぎていくようだった。そんなトンネルのことを知るために、調査を開始する。
まずこの作品で惹かれるのは綺麗で細かい作画です。特にトンネルの中の世界は美しく、どこか不気味さも感じますがそこがとても魅力的です。つい見入ってしまい、この作品の世界観に吸い込まれます。
そしてストーリーもまた魅力がいっぱいです。
欲しいもののために協力し合うふたりは、初めは何にも興味がなさそうでそれさえあればいいというような振る舞いでしたが、次第にお互いに心を開き惹かれあっていく様は心動かされます。
全体的にセリフ数はそう多くなく必要なことだけ、という感じで間も多いですが、それもまたこの落ち着いて儚さもある世界観のよさが引き出されています。
ただ展開としては単調なところがありますが、
安定したストーリーを楽しみたい時にはおすすめです。
もし自分がこんなトンネルを見つけたら…と想像するのも面白いかもしれません。
不思議な世界を映画を通して体験できるような作品です。