〜世界全土でウイルス感染〜
私が今回紹介するマンガは『アポカプリスの砦』という作品だ。蔵石ユウ原作、イナベカズが漫画を描いており、蔵石さんの代表作には『我妻さんは俺のヨメ』がある。アポカプリスの砦は現在、10巻まで出ており、その巻で最終巻を迎えた。
このマンガのジャンルはゾンビ・パニックアクションで、いわゆるゾンビサバイバルマンガというやつだ。
主人公のごくごく普通の青年、前田義昭はある日突然なんの罪も犯していないのに、無期懲役の判決で関東中の不良が集まる、青年矯正施設、松嵐学園に収監されてしまう。そんな学園内でかなりの曲者である、吉岡、岩倉、山野井の3人と同じ部屋で過ごすことに、だがそんな不安な生活を送るのも束の間、学園の外では人々がウイルスに感染した人達に噛まれゾンビに変化する事件が起きていた…そんな事態を知った4人は生きている人がいないか学園を抜けて外に飛び出して行ったのだった‥‥
そんなゾンビサバイバルマンガだが、今日は自分が個人的に面白いと思った部分を紹介していく。
まず一つ目は主人公及び仲間たちは収監中の不良達であるところだ。通常ゾンビマンガは、なんでもない男子高校生やその取り巻き、大事に思っている妹や幼なじみがいるのが定番だと思うのだが、このマンガは違う。男、男、男!と殆ど男性しか出てこないのである、しかもただの男ではなく並外れた、身体能力や頭脳を持っていたり、銃やナイフの扱いにも慣れているので、常にゾンビとの戦闘を慣れた手つきで行なっている人達なのだ。
二つ目はゾンビ達が進化していくところだ。一般的なゾンビ映画なんかでも中ボス的立ち位置の強いゾンビなどが出てくると思うのだが、このマンガでもそんなゾンビが数々出てくる。しかし今回紹介したいのは強さではなく、奇形な形や気持ちの悪い進化を遂げたゾンビ達だ。物語序盤は比較的普通のゾンビが登場する。ただそのゾンビ達でさえ、リアルに描写されており、人肉を貪っているコマなどはカニバリズム的印象を強く受ける。
そのゾンビ達が進化すると、両目が離れて異形な方向を向いていたり、人の骨格のまま犬のような姿に変貌したり、両足がくっついてトドのような姿に変貌したりするのだ。漫画を手掛けているイナベカズさんの絵のタッチからして、リアルにその奇形で異形な絵を描いているので、よりリアリティーの増した作画となっている。
そして最後は人類の進化だ。先ほど書いたようにゾンビ達が進化してくのだとすると、このマンガは人間もまた進化していく部分がある。それは主人公が特にそうで、終盤に最高まで進化したゾンビがいるのだが、そいつに噛まれ危うくゾンビ化してしまう寸前にまで陥った。そんな中なんとか一命を取り留めた主人公はその後ゾンビに噛まれることはなく、ある程度のゾンビの数ならそのゾンビ共をコントロールする力を身につけるのだ。だが実際はゆっくりとゾンビ化が進行しており、はたして主人公はゾンビになってしまうのか……
と、ここまで個人的オススメを紹介していったがこのご時世、運良く今回のコロナウイルスは致死率も低く重症化してもある程度は助かる人も多いウイルスで、ワクチンの接種も進んでいる。しかし、もし今回のコロナウイルスが致死率がとても高く、感染したらほぼ死を待つしかない世界だったとしたら、このマンガのようにゾンビとまではいかないが、世界はとんでもない事になっていたかもしれない……気になった方は一度読む事をオススメする……