1987年に放映されていた「シティーハンター」が20年振りに完全新作の劇場版アニメとして帰ってきた。今作はアニメ放送30周年の記念プロジェクトと銘打たれ、声優陣には冴羽獠役の神谷明 (かみやあきら)をはじめ、槇村香役の伊倉一恵(いくらかずえ)などオリジナルキャストが再集結 を果たした。なので昔見ていた大人世代の方々は喜びの声をあげていただろう。
「シティーハンター」は1985年に作者の北条司が『週刊少年ジャンプ』で連載を開始し、新宿を舞 台にしたハードボイルドコメディである。物語の主人公、冴羽獠はスイーパーという始末屋で、美人の依頼人から仕事を受けて様々な殺しや、ボディーガードを行なっている。 だが、ときにちょっぴりアダルトなギャグや、シリアスな人情劇を見せるなど、当時の子供達から特に大人の世代に幅広く読まれていた作品であると私は思っている。
そして劇場版である今作は、初代監督にして今回総監督を務めるこだま兼嗣のもと、脚本の加藤陽一などによる本作のために書き下ろされた完全オリジナルストーリーになっている。なので「シティーハンター」を知らない若い世代でも分かりやすくストーリー展開がされている。
その内容は、舞台は変わらず新宿、冴羽獠と槇村香がロケットランチャーで武装したテロリストと対峙するところから始まる。そんな中、医学生でモデルの進藤亜衣(CV飯豊まりえ)から掲示板で自分を狙っている怪しげな男たちから守って欲しいと依頼され、物語は進んでいく。
今回の物語を観た感想としては、私自身「シティーハンター」の原作、アニメシリーズは観たことないが、それでも冴羽獠のプロの始末屋としての凄さや、20年経っても色褪せない冴羽獠としての人間像を窺い知ることができた。そして原作を知らなくても分かりやすいように物語はスピード感 もあり、視聴者側を置いてけぼりにすることもなくアニメ映画としての見応えが十分あった。
そして何より今回の見どころの一つとして往年のテーマソングが挿入歌として組み込まれており、 更には「シティーハンター」誕生のきっかけとなった作品「キャッツアイ」の3人も登場するなど、古参のファン、アラフォー世代の方々にはとても人気の出る作品になったと言えるだろう。 私も、挿入歌は知らないが、エンディング曲として起用されていたTM Networkの「GET WILD」は 認知していたので全体を通して満足して観ることができた。
今作の劇場版を受けてこれからも「シティーハンター」は色褪せることのなく、若い世代でも、もちろんアラフォー世代にも人気のある作品であってほしいと願い、更なる「シティーハンター」の盛り上がりに期待しよう。
(C)北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会 ※短縮表記:(C)T.HOJO/N,C