「兄にはなれない。」
宮城リョータには地元で有名な3歳年上の兄がいた。地元でバスケをしていても、家にいてもどこからとなく聞こえてくる「兄にはなれない」の言葉の中で育ってきた_____。
場面は変わり、高校二年生になった宮城はインターハイに出場、王者山王高校との試合が始まる。
まず私は原作知識はほとんどない、前知識も何もない状態で本作を鑑賞し始めましたが、「この映画は花道くんが主演ではないのだな。」というのが最初の感想でした笑。
スラムダンク=花道という印象が強かったからです。そんな私でも映画内から花道が入部したてほやほやのど素人なことはよく分かりました笑。
宮城くんがお兄さんに最期に言った言葉は「もう二度と帰ってくるな」
感情に任せて乗せてしまった言葉でも、これが最期に兄に伝えた言葉になってしまった事実は当時おそらく小中学生だった宮城くんには重くのしかかった。それが、一種のトラウマになってしまっているのではないだろうかと考え、個人的には心情が心配で仕方ないです笑。
点差が20点どころか30点差近くついた時、花道がテーブルの上に飛び乗り観客席に向かって「山王は俺が倒す!By.天才桜木!」と叫んだ後の空気感がいい方向に進んでいる姿を見ると、やっぱり桜木花道はスラムダンクの「主人公」なんだなと、強く思わされました。
本作の主題歌「第ゼロ感」は映画をここまで見てこなかった私でも、何度も聞いたことがあってとても気に入っていた曲なのです。しかし、今回このレビューを書くにあたりこの曲についてもまたインタビュー記事などを読みました。
この曲自体流川くんのシーンをイメージに作詞作曲されたそうです。BillboardJAPANさんの記事を拝見したのですが、元となった曲は「流川オダンシー」というタイトルだったそうです笑。
そこは宮城くんじゃないんかい!と、思わず思ってしまいました笑。
試合は進みラスト24秒でワンゴール入ってからの無音の心音のような無音のシーンは、あの時間は鳥肌が止まらず、見ているこちら側を息を飲むシーンになっていて、手に汗を握るとはまさにこの事なのだろうと思いながら鑑賞しました。また、そのシーンの作画が漫画調に仕上がっていて、そこもまた視聴者に感動などを呼ぶ、一種のきっかけになっていると考えました。
試合終了後、山王の沢北が泣き崩れ回想に入り、試合前神社で祈った内容が「俺に必要な経験を下さい。」でした。
これは、絶対王者山王高校の選手であったからこそ少なくともここ数年は負け知らずでいたから、負ける悔しさや、負けることで得るものを忘れかけている自分を思い出させる。これからプロの道を志すならば、絶対に今経験しておいた方がいい「必要な経験」に当てはまるのではないかと考えます。
大人になり海を越えて再会する宮城と山王の沢北。高校時代日本で、切磋琢磨した試合がある2人がアメリカの地でそれぞれプロになり対戦相手として再開するのは世にいうエモい演出なのでは?と内心少し荒ぶりました笑。
この作品まとめると
『かつて兄が夢見た「最強山王高校に勝つ」という目標に、家庭環境や学校での人間関係などから1度はバスケを諦めようとした弟が全力で挑む作品』
という事なのかなと考えました!