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「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

「心から」という”sincerely”の文字から始まる。2020年公開、テレビアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の劇場作品である。

孤児の名もなき少女はヴァイオレットと名付けられた。兵士として戦場に駆り出されて両腕を失った彼女。「あいしてる」と言い残したギルベルト少佐の言葉の意味を知るために手紙の代筆を行う自動手記人形ドールになる。

愛を知らずに兵器として育てられたため、人の気持ちがわからなかったヴァイオレットは手紙を綴り、人の想いに触れて「あいしてる」という言葉の意味を少しずつ知っていく。そして自動手記人形として名声を高めた。

休日のある日、郵便社に電話が鳴った。入院しているユリスという男の子が両親と弟宛てに手紙を依頼してきた。一方で、亡くなったと思われたギルベルト少佐の消息が判明するが……。

本作では気持ちを素直に伝えることの難しさと手紙に込められる「心」の表現がさまざまな場面を通して、描かれている。

冒頭はテレビアニメ10話で手紙を依頼した人物の孫が登場する。祖母の葬式を終えて、仕事に戻ろうとする母に心無い言葉をぶつけた。大切にされていると理解しながらも、本心を口にできないもどかしさを書いた手紙。

他にも罪悪感を抱き続けるギルベルト少佐に宛てたヴァイオレットの感謝の手紙や病へのいら立ちからユリスが辛く当たっていた両親と弟への手紙など。どうしても心と矛盾する行動をしてしまう人の複雑さと本心を綴ることができる手紙の不思議な力が繊細に描かれていた。

そんな人の複雑さを徐々に理解し、心が芽生えていくヴァイオレット。成長した彼女だからこそ、募る少佐への想いには胸を打たれるものがあった。

ようやくギルベルト少佐との再会を果たしたヴァイオレット。本作の最後は「あいしてる」で締めくくられた。

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