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陰湿な風習と醜い人間たちによって生まれる呪い 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

作品概要

「鬼太郎の誕生 ゲゲゲの謎」は水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』を原作とし、テレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第6期シリーズをベースに制作された水木しげる生誕100年記念作品である。

あらすじ

今は廃墟と化した哭倉村(なぐらむら)は70年前、日本の政財界を裏で牛耳っていた龍賀(りゅうが)一族によって支配されていた。自分の出世目当てで龍賀家当主の弔いにきた血液銀行に務めている水木は、幽霊族の末裔である男と出会う。彼は生き別れとなってしまった妻を探すためこの哭倉村へ来ていた。お互い村に来た目的を果たす為に協力をするという約束を交わす一方、龍賀一族では次の当主となる跡継ぎ問題で醜い争いが起きていた。

感想

以下ネタバレを含みます

閉鎖された場所独特の風習や特殊な信仰の常識から外れたものが、その場では当たり前のものとして扱われているものから来る恐怖や不気味に感じられた。幽霊や妖怪が怖いというよりも怪異を自由に操れるようになった人間達の欲のぶつかり合いの方が恐ろしいと感じる。ヒトコワ的なものの方が強かった。

今回見るのが2回目だったので、1回目だと何も感じずただ見ていたものがこの後の話に繋がる伏線が多いと感じられた。

“廃墟化した村”を感じる昔の家によく飾られていそうな甲冑や田舎によくある大量の鳥居、廃病院の心霊スポットでよく見る医療器具やベット等、一見ホラーを感じさせるためだけの演出だと感じられる。しかしそれらは哭倉村の隠された陰湿な風習の伏線だということを物語を見ていくうちに気付かされた。知らないうちに哭倉村の裏の部分を刷り込まれ、気付いた時にはもう逃げ場がない。あとはただ哭倉村の呪いに取り囲まれていくだけ、というそんな恐怖感があった。見ているだけの自分も水木と同じ“よそ者“あることを感じさせられた。

物語は龍賀家の人間関係の複雑さや、哭倉の風習など難解なところがある。なので2回目でもしっかりと把握しきれてないところもあるので、何回も繰り返し見てみたくなる作品だと思う。

今年の10月4日に327カットをリテイクし、音も再ダビングした『真生版』が公開される。映像や音のクオリティがあがったこの『真生版』は制作陣が本来作りたかったものである。R12指定だったものが R15+指定に引き上げられることでホラー演出等も倍増する。更に水木しげるホラーを体感できるこちらも見てみようと思った。

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