ライブ活動をして女の子にもモテている高校生の草壁光と高校入試で全教科満点をとった佐条利人。接点もなく共通点もない。そんな交わることのなさそうな2人だったが合唱祭の練習をきっかけに話すようになる。
放課後の歌の練習を通して2人でいる時間を重ねることで互いに惹かれ合っていく。
思春期真っ只中で相手はもちろん、自分の感情にも素直になれずもどかしいなかでも彼らは自分達のペースでゆっくりと自分の気持ちに向き合っていく。
中村明日美子がはじめて手掛けたボーイズラブ作品「同級生」が原作のアニメーション映画。
制作はA-1 Pictures、監督は中村章子が務める。
背景が柔らかく淡い色使いでまるで水彩画のようだった。
キャラクターの心情に合わせて背景も色が濁ったり、鮮やかになったり、それもグラデーションのように少しずつ変化をする時もありとても見応えがあった。キャラクターの悩みや葛藤、喜びの感情が表情に出ないことや顔が見えず後ろ姿だったりすることが多かったので、キャラクター単体だけだと彼らは何を今考えているのかとなるのだが、心象風景のように背景が彼らの気持ちを代弁してくれているようだった。
画面構成では、コマ割りの様な画面分割をしたり背景をあえて描かず真っ白するなど漫画のような表現がとても多いと感じた。漫画原作の映画なので、原作での表現を映像に上手く取り入れているのかなと感じた。
ボーイズラブという同性愛をテーマにしてある作品なので、人を選んでしまうかもしれないがキャッチコピーの「まじめに、ゆっくり、恋しよう」の通り2人が純粋に惹かれ合い、自分達のこれからの進路や将来に振り回されながらも寄り添い合う純愛の物語で、長さも60分と短めでもあるので初めてBL作品をみる人にもオススメできる作品だと思う。